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君と彼女と彼女の恋。
ラブプラスと脱出ゲームを足し合わせたようなゲーム。
ここはネタバレ無しのレビューを書いているサイトなので、
これからプレイしようと考えてる方向けに書きます。
さすがにいないとは思いますが、
「初めてエロゲーやろうと思います！^^v」って方にはまったく合わないのでやめましょう。
ニトロプラス以外のゲームを10本以上遊んでから、物好きな人はやったらいいと思うよ！
まず忠告として、攻略サイトは見ないでください。
この作品はよくあるタイプのWeb脱出ゲームに近いので想像してみるとわかりやすいです。
部屋の仕掛けを解いたり、怪しい場所を探したりして、閉じられた部屋から脱出するアレです。
脱出ゲームをプレイしよう！という時に攻略サイトを見ますか？
もちろん行き詰まったら攻略サイトに頼るかもしれませんが、まずは自力で解く楽しみが大切です。
このゲームも、自力でヒロインを攻略する楽しみがとても大切です。
他にもネタバレ防止の意味合いもあるので、なおさらです。
正直な所、シナリオそのものはあまり面白くなかったので、
シナリオを楽しむのではなく、攻略を楽しむというスタンスが重要。
幸い、攻略が難しいわけではなく、ストーリーも短めなので、自力攻略に行き詰まる事はないと思います。
話は変わりますが、その昔、コナミから発売された「ラブプラス」というゲームがあります。
現実の時間軸と同期してイベントが起こったり、プレイヤーの名前を呼んでくれたり、といった画期的システム。
まるでゲームのヒロインと本当にお付き合いしているかのような錯覚に陥るということで、
当時かなりの反響があったギャルゲーの名作です。
私も、当時はDSに向かって話しかけたりしてトリップしてましたね。懐かしい。
「君と彼女と彼女の恋。」には、時間イベントとか名前呼んでくれるシステムとか、そのような機能はありませんが、
プレイしていると、仮想と現実の境界があいまいになるような錯覚に陥ります。
ネタバレ無しで詳しく伝えるのは難しいのですが、このゲームは非常に細かくフラグ管理がなされており、
同じイベントでもルートやフラグによって微妙に会話や展開が変化します。
ちょっとした選択肢の違いによって、イベント内容に若干変化が生じるのが実感できます。
少し大げさな表現になりますが、
「自分が選んだ選択によって仮想世界に干渉できる。未来が変わる」
という感触が、仮想と現実の境界をあいまいにする。そんな所がラブプラスに似ているなと感じました。
さて、プレイした感触ですが、最初のうちは（特に一周目は）割と退屈です。
全然面白さが伝わりませんでした。
ただ、「裏に何かあるぞ・・・？」という漠然とした不安や期待はあり、
終盤に近づくにつれて面白くなってくる後半盛り上がり型の作品です。序盤の退屈を乗り切ってください。
一番の評価点はシステム面。
上でも書きましたが、非常に細かいフラグ管理でイベントに差分を持たせています。
ですから2周目以降に同じイベントを見ても、飽きるどころか、
「あの時の選択肢を変えたらどうなるのか？」という探究心を掻き立てられます。
既読スキップ判定も優秀で、差分の箇所だけちゃんと見分けて止めてくれますので、安心して既読スキップ利用可能。
ネタバレになるので書けませんが、他にもあっと驚かせるシステムもあり、システム面の評価は100点満点。
エロゲーやって一番の評価ポイントがシステム面です、なんて事は今後無いんじゃなかろうか。
この優秀なスクリプターとデバッガーを他のゲーム会社にも見習って欲しいですね！
本作唯一にして最大の欠点は、キャラクターの魅力が足りない点。
人によって好みは違いますから、誰にでも好かれるヒロインを作るのは難しいと思いますが、
この作品は作中でキャラクターの掘り下げがされておらず、正直、公式サイトのキャラ紹介と同レベルです。
たった2人しかいないヒロイン、そのどちらも最初から最後まで好きにはなれませんでした。
これが本当にもったいなかった。
少なくともヒロインどちらかを好きになっていたならば、この作品の評価はもっと高かったです。
ヒロインを好きになれないラブプラス、って考えると少しは悲惨さが伝わるかと思います。
さらに言えば主人公も相当嫌いな部類の人間だったので辛かった。
総評としてはキャラクターの魅力が足りないが故に名作に成り損ねた意欲作。
ただしシステム面が本当に素晴らしいですし、同じようなゲームが今後出ることはない唯一無二の作品です。
キャラクターさえ好みに合えば超名作になりうる可能性も秘めていますので、
人には勧めづらいけど一度はやってほしいという難しい作品です。
こういうゲームを想像することは簡単かもしれませんが、
その企画を通すだけでなく、実際に作って売っちゃうのはさすがニトロプラス。 |